短編純文学風。 〜感動のラスト!〜
2021/04/25
20XX年本屋大賞予定、青春ラブロマンス。
「あの日君の脾臓を食べた僕は明日の彼女の全てを知りたくて、部活やめたってよ。」(寄せ集め風)
今日僕は、彼女と初めてのデートをする。
あの日駅のホームで彼女を見かけて僕は一目惚れをした。
彼女に僕を知ってもらいたくて、
僕は勇気を出して声をかけた。
何度も声をかけたんだ。
何度断られたか分からない。
そして今日ようやく、、。
普段の僕ならくじけて諦めてたかもしれない。
でもあの時の僕は違ったんだ。
僕の全てを知って欲しい。
彼女の全てを知りたい。
そう思ったんだ。
朝目覚めて、僕は家を出る前に冷蔵庫にあった卵でスクランブルエッグを作り、トーストを焼き、昨日の余りのほうれん草でスープを作って食べた。
祖母が買ってきてずいぶん経つしなびたオレンジを絞ってジュースにして飲んだ。
待ち合わせよりだいぶ早く駅へ向かい、
待ち合わせの場所で僕は彼女を待った。
その間僕は6本のタバコを吸い、耳につけたイヤホンで14曲のジャズを聴き、
彼女が来るのを待った。
彼女が来たらまずは何を話そう?
そもそも彼女は来てくれるのだろうか?
僕が想いをはせて立っていると
彼女は現れた。
初夏の日差しを浴びて、駅で見かたあの日以上に美しく、清楚で、
僕はたじろいだ。
言葉もなく、僕たちは歩いた。
僕はあらかじめ調べていたお店へと足を運ばせた。
調べたお店はオシャレ過ぎず、それでいて庶民的な食堂でもなく、
お店自体が僕の人となりを表現してくれているかのようなお店だ。
そこであれば僕は彼女と照れずに話す事ができるはずだと思った。
お店に着いた。
「素敵なお店ね。」
初めて彼女が言葉にしてくれた。
僕の心は踊った。
「そ、そうだね。よく来るんだ。」
僕は嘘をついた。
でもその嘘が僕の背中を押してくれた。
店内にはビルエバンスのピアノが流れ、
若き日のウィノナライダーに似た店員が僕たちを席に案内した。
これからだ。
僕は本日のブレンドコーヒーを、
彼女は冷めたレモンティーと、パンケーキを注文した。
注文を終えた僕は何週間も用意してた話を順序立てて話そうと
心の中でシミュレーションをした。
緊張はしている。準備は万端だ。
僕は知りたかった。
彼女の全てを。
彼女に知って欲しかったり
僕の全てを。
そして僕は勇気を振り絞った。
それはマイケルジョーダンがフリースローを何なく決める直前のように。
ウィノナライダー似の店員がパンケーキとを運んでくるのが見えた。
食事しながら彼女にたくさんたくさん話をするんだ。
そう心に決めた。
それは僕にとってのフリースローだった。
ところが、
僕が彼女のその大きな瞳から目を逸らした、
その刹那。
僕の視力はアフリカの狩猟民族のように冴え渡り、
ある文字を僕の目が捉えた。